理事会からメッセージ
2019/04/08
 
第9回 新生会は、人間の幸せと成長を大切にするコミュニティです
 『生きる 愛する 仕事する―クリエイティヴソーシャルワークの源泉』は、私が2010年に出版した(ドメス出版)本のタイトルです。なぜこのタイトルにしたか? 人生を精神的(内面的)側面から捉えるなら、まさにこの三つの言葉に集約されるからです。これらを外面的に表現すると、「生活 他者への思いやり 職業を選ぶ」ということになるでしょう。
 私たちは人類(ホモサピエンス)として約500万年から600万年の歴史を生きてきています。その間に人間社会は生産システムを進化させ、21世紀前半の現在は資本主義の終焉―新自由主義―の時代に生きています。新自由主義は全てを「貨幣」によって価値付し、本来なら売買不可能な、例えば、生命を基本とする「医療 福祉 教育」をもビジネスの対象として利用としています。現代社会に生きる老若男女、ほんの一部の人々を除いて、多くの人々は、それを当然の如く受け容れています。現代に生きる私たちは、自分の内面(精神)に巻き起こっている「真 善 美」また「知 情 意」にはほとんど関心を示さず、貨幣(物質的利益)を基準に職業を選び、場合によっては、お付き合いの相手も物質的基準に依存しているように思われます。
 その結果、自分自身の魂の真実をないがしろにした金銭至上主義が社会に蔓延するようになりました。「平成」も終わりますが、この平成の30年間(平成元年は1989年)に、政治は新自由主義を強化し(それがアベノミックス―アホノミックス)、市民社会の疲弊は深刻になっています。一方で様様な犯罪が日常茶飯事となり、人々は「生きること」「愛すること」「働くこと」の本来の意味を問うことをしなくなりました。自己中心のエゴイズムが主流となり、人間が幸せに生き、愛するために自分はどのように生き、働くのか、そのためにどのような職業が自分に合っているのかを真剣に考えなくなりました。
 人間の魂(精神)は本来「真・善・美」を愛するように育まれてきているのです。この人間に与えられた賜物を最も高貴に実現するのが「芸術」の仕事です。次が、医療、福祉(介護・ケア)、教育の仕事だと私は考えています。これらの仕事に芸術に取組むようにチャレンジしてゆくことが私のモットウです。昨今特にこの30年来、この様な真善美を基とした領域に感心をもつ若者が減ってきているように思われます。これは少子化だけが要因ではなく、精神、人間、いのちをないがしろにした貨幣主義の言論が人々(特に青少年)の考え方に忍び込んで、価値観を狂わせているからではないでしょうか?
 しかし、いかなる社会情況にあろうとも、「真・善・美」を貫く人間は少なからずいると私は確信しております。新生会は、「真善美」と「愛和望」を法人の人格の礎としています。長年の努力と研鑽が実って、一人ひとりの幸せと、一人ひとりの成長を大切にする福祉コミュニティとして発信を続けています。
 医療、看護、福祉(ケア、介護)、調理(料理)などの仕事を通して、人間として気高く成長し、友愛、平和、希望に満ちた社会を創造するために、私たちと共に働きませんか!
 志をもった若者が一人でも多く新生会の働きに参加してくださることを心より期待しております。