理事会からメッセージ
2020/08/12
 
第10回 「良心ノ全身ニ充満シタル丈夫の起リ来ラン事ヲ」
 「良心ノ全身ニ充満シタル丈夫ノ起リ来ラン事ヲ」は、同志社の創立者・新島 襄の言葉です(1889年11月23日)。私がこの言葉に出合ったのは、同志社大学に入学し、今出川校地の正門を入った右側にある良心碑を通じてです。以来私は「良心の全身に充満する」若者(当時)今は人間になろうとずっと歩み続けているような気がいたします。この良心碑は「同志社教育の真髄を示す『良心教育』」の基となっています。今出川校舎だけではなく各所にこの良心碑は建てられているので、皆さんも見たことがあるかもしれません。新島 襄は1875年に同志社英学校を設立し、1890年病に倒れ帰らぬ人となりました。(46歳没)
 仕事半ばに若くして世を去らねばならなかった新島が最後に残したこの言葉には、新島の教え子たちへの期待と日本のために「良心の充満したる丈夫」を育成していこうとする強いパッションが感じられます。「良心」とは、「真・善・美そして愛を魂に内包した情熱」とも言えます。人間が生きる目標(社会的使命)を自覚した時、実践のエネルギーになるのは「良心」です。「良心」なくして「真髄」をもった仕事を成就することはできません。
 新島 襄が天に召されて130年になります。21世紀になって20年、世界中が新自由主義政策によって人間の精神性をないがしろにして物質文明に酔いしれているところに「新型コロナウイルス感染症」(COVID19)が地球全土を覆い尽くしました。世界中の人々がコロナを恐れ、不安の中に生活しています。多くの社会活動もストップしています。いつ終息するかも予測できません。これから社会人になろうと就職活動している人たちもやりきれない思いで日々を過ごしていることでしょう。私はそんな各人を励ましたい。一人一人が人生に目標と希望をもって社会人としてスタートしてほしい。新生会の就職説明会に参加する一人一人に「自分が心底やりたいことをやりなさい。挑戦して行きなさい。失敗を恐れずに」と語りかけます。こんな時だからこそ新自由主義から自由になりなさい。(新自由主義の時代は終わりに近づいています。)自分の真実の気持ちに気付きなさい。そこに見えてくるのは「あなたの良心」です。あなたの良心は何を望んでいますか?あなたの良心があなたの魂を覆い尽くす時、満ち溢れる時、あなたの真髄の声が聞こえてくるはずです。
 このように駄目駄目尽くし、行動制限のある社会環境においては何が大切なのか?それは、自分の良心に従って判断し、勉強し、仕事をすることです。私は自分の良心に従ってこの仕事を選びました。様々な社会悪(新自由主義もその一つ―なぜなら良心さえ金銭化するから)に遭遇するごとに、私は「良心の充満したる丈夫」たらんと努めてきたように思います。コロナ禍にあって、私たちは今耐える時です。耐えるとは「Patient」です。希望(信仰)をもって耐えた時、そこに見えてくるのは湧き上がってくる「良心」と「良心」にそった自分の生きる姿です。私も新島襄のパッションに習って「良心の充満したる丈夫の起こり来たらん事を」そしてみんなで力を合わせて真の社会福祉事業を実現していこうではありませんか!!これからは一人一人の幸福を追求する仕事、それが福祉の仕事の本質(Radical social welfare)なのです。共に新生会で「良心の充満」を実感して行きましょう。
 
 
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