理事会からメッセージ
2019/03/18
 
(再掲)第6回 新生会の「医療」と「福祉」
社会福祉法人「新生会」に、新生会の医療を担っている「新生会診療所」があることをご存じですか? 新生会は社会福祉法人として、1957年に設立されました。老人福祉と高齢者医療の関係は表裏一体の関係です。新生会診療所は、新生会を利用なさる方々がその人らしく天寿を全うできる事を願って、1980年に「保険指定医療機関」として、県より認可されました。1993年には、八角形の洒落た建築として新築されました。初代所長は、原 衞医師であり、2004年に小脳出血で倒れるまで、新生会の目指す全人的医療の要として、スタッフの指導にも当たり、新生会の福祉医療の実践に従事してくださいました。
 医療と福祉の根本は人間愛にあります。しかし現今の日本の医療も福祉も、制度を軸とした経済優先主義になっております。その様な情況にありながら、原 衞医師は人間本位(高齢者のその人らしい在り方)の医療を、時には悩みながらも真っ直ぐに貫きました。
 原 衞医師が倒れてからの新生会診療所は後任の医師も与えられ、経営と運営はなんとか維持してきました。しかしいつの間にか、原 衞医師が貫いた医療哲学とヴィジョンを見失って行ったように思えます。それについては、理事長としての私の責任でもあります。
 2011年3月に原 衞先生の後任医師が退職後、新生会診療所は日本の医療が抱えている様々な問題に直面することになりました。ここでそれらについての詳述はさし控えますが、新生会診療所は今こそ原点に返って、居住者が真に求める医療サービス機関として充実させたいと願っています。それは市場化され、経済本位になっている日本の医療サービス状況において、新生会診療所は、人間愛に基づいた全人的な人間医療を目指して行くということです。新生会診療所のクライアントのほとんどは高齢者です。
 『あなたがあなたの老年期の住居を新生会のホームに定めてくださった御縁に感謝し、あなたが去ることを希望されないかぎり最後までお世話させていただきます。』
 これは新生会に居を定めてくださった「あなた」と新生会の約束です。その約束のために新生会診療所は作られました。ですから原 衞医師退職後、使命を見失っていた診療所に再び、人間愛に基づいた高齢者医療を復活させたいと強く願います。
 私は、2014年4月をその再出発の時にしたいと思っています。
 今、新生会では、高齢者医療に関心と志を持った医師と理学療法士を求めています。人間本位の医療を確立することの重要性に賛同し、ご協力してくださる医師と理学療法士との出会いを心から期待しています。
 「HALCの丘 新生会」が目指す「人間・芸術・いのち・愛」に根ざした医療と福祉の確立と実践に共に取り組んでいただける方と出会えることを心より祈っています。